毎年8月、日本中が高校球児たちの熱戦に沸き立つ「夏の甲子園」。その熱気は球場だけにとどまらず、なんと株式市場にも影響を与えるという都市伝説のような話があります。今回はそんな「甲子園×株価」のアノマリーについて検証します。
◆目次
1.甲子園と株価のアノマリーとは
2.実際に十年分を検証
2024年
2023年
2022年
2021年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
番外編
3.検証結果
4.まとめ
1.甲子園と株価のアノマリーとは
アノマリー(anomaly)とは、一般的には「通常の理論や法則では説明できないが、経験的に繰り返し観測される現象」のことを指しており、投資の世界では主に以下の2つのことを指します。
①ファンダメンタル分析やテクニカル分析では説明しきれない、
相場の動きのクセや傾向のこと
②「なぜそうなるのかは不明だが、過去に何度もそうなっている」という経験則。
今回のテーマである甲子園と株価のアノマリーとは、甲子園で野球が盛り上がり関連する企業の株価が上がるのではないか?甲子園で優勝した県は、地元が活気づいて業績も上がり、株価も上がるのではないかという。何となく誰かしから思う都市伝説のような噂。
しかも、甲子園のやっている8月はいわゆる夏枯れ相場と言われちょっとしたイベントでも株価が動きやすい時期でもあるので、本当にアノマリーが存在するかもしれません。
そこで今回は、「甲子園を優勝した高校のある県の企業の株価は上がるのか?」を検証します。
2.実際に10年分を検証
「甲子園を優勝した高校のある県の企業の株価は上がるのか?」を検証するにあたって、何個かルールを決めておきます。
・甲子園の開催期間の8月の前後(7月末と9月末)の株価を比較する。
・比較するのは、その県に本社がある企業の中で、時価総額上位3社について、
甲子園前後の株価の上昇率を平均したものとする。
・そのタイミングでの景気や環境を考慮するため、日経平均の上昇率を補正する。
それでは、2024年からさかのぼって、2020年はコロナで非開催なので、2014年までの10年間分について検証していきます。
結構長い検証になるので、結果を見たい人は、3.検証結果まで、飛んでください。
2024年

記憶に新しい京都国際が、関東第一、青森山田、智弁学園など強豪を次々撃破し初優勝を達成した年。一方で、低反発バットの導入により、本塁打数はわずか7本で、1974年の金属バット導入以来最少でした。
株価としては、7月に高値を付けてから下落の時期。
優勝した京都の株価も堅調で、日経平均以上の上昇となりました。
2023年

慶応高校が、前年優勝校・仙台育英を撃破し、1916年以来107年ぶりの全国制覇した年。慶応は、丸刈りなし、選手が練習メニューを作るなど自主性重視のチーム作りが話題でした。大会としても、5回終了後に10分間の休憩時間を設けるクーリングタイム導入など変化のある甲子園でした。
株価としては、7月に高値を付けてから下落の時期。
優勝した神奈川では、自動車会社の上昇が目立ち、日経以上の上昇となりました。
2022年

仙台育英が、決勝で下関国際(山口)を8-1で下し、東北勢として初の優勝し、「白河の関を越えた」と称され、東北高校野球界の悲願を達成した年でした。
株価としては、ウクライナ戦争や記録的円安での下落の続いた年。
優勝した宮城県の上位3社の株価は堅調で、日経以上の上昇となりました。
2021年

前年(2020年)は新型コロナウイルスの影響で中止となったため、2年ぶりの開催。智弁和歌山が、史上初の「兄弟高対決の決勝」で智弁学園を破り優勝しました。一方で、観客が学校関係者に制限、応援団も50人までに制限されるなどコロナ影響が残る大会でした。
株価としても、コロナ禍影響からの回復の年。
優勝した和歌山県も上位3社共に日経平均を上回る上昇をみせました。
2019年

令和初の甲子園、履正社が星稜高校を決勝で破り、悲願の初優勝をした年。準決勝と決勝の間に休養日が設けられた初めての大会でした。
株価としては、堅調に成長していった1年。
優勝した大阪府は、大きな上昇は無いものの日経平均を上回る上昇でした。
2018年

記念すべき100回の記念大会は、大阪桐蔭が史上初の2度目の春夏連覇を達成しました。
準決勝で敗れた金足農業も記録的快進撃で、103年ぶりの秋田公立校の決勝進出という快挙を果たし、とても印象に残る大会でした。
株価としては、この時期はまだ上昇方向の中で、
優勝した大阪府の企業も上昇してはいるのものの、日経平均には届かずでした。
2017年

花咲徳栄高校が決勝で広陵高校に勝利し、埼玉県勢として初優勝を果たした大会。中村奨成(広陵)が、大会新記録の6本塁打、17打点、打率.571という驚異の成績を残した年でした。
株価としては、堅調な成長で株高方向の流れの中。
優勝した埼玉県の企業についても大きく株価を延ばしました。
2016年

作新学院高校が北海高校に勝利して、54年ぶり2度目の優勝を果たした大会でした。
株価としては、6月の英国EU離脱選択での株安からの戻りの時期。
日経平均はマイナス方向の中、優勝した栃木県の企業は堅調に上昇しました。
2015年

東海大相模が仙台育英を破り、1970年以来の全国制覇をした年。大会としては、早稲田実業の清宮幸太郎や、関東一高のオコエが話題になってました。
株価としては、8月のチャイナショックで大きく株安が進んだ時期。
優勝した神奈川県においても大きく株価が下がり、日経平均以上の下落でした。
2014年

大阪桐蔭高校が決勝で三重高校を破り、2年ぶり4度目の優勝。星稜、敦賀気比、日本文理、富山商業などが初戦突破し、北陸勢の存在感を示した大会でした。
株価としては、4月の消費税引き下げでの株安からの戻りの時期。
優勝した大阪府の企業も、株価は上昇するものの、惜しくも日経平均までは届きませんでした。
番外編

大都市よりも地方のほうが盛り上がって株価も上がるんじゃないかということで、近年まれに見る地方の活躍で印象深い2018年大会の金足農業高校のある秋田県について検証。結果的には、残念ながら、ギリギリ上昇した程度で、日経平均には大きく差を広げられてしました。
3.検証結果

4.まとめ
いかがでしたでしょうか。甲子園に優勝すると株価が上がるかについて検証しましたが、単純な比較をした結果では、上昇する確率のほうが高くなりました。
甲子園でがんばる球児たちの青春を、こんなギャンブルみたいな検証に使うのは罰当たりな感じもしますが、高校球児たちは、このような大企業をおいといても、地方の町や商店街などを確実に地方を盛り上げていると思います。私自身も甲子園は大好きなのでこういった意味でも高校球児たちの活躍を期待しています。
今年も甲子園熱い戦いが繰り広げられており、この記事を書いている8/20時点ではベスト4まできており、日大三高(東京)、県立岐阜商業、沖縄尚学、山梨学院が8/21に準決勝となります。どの高校が勝ってもおかしくない、素晴らしいドラマが繰り広げられると楽しみにしています。
そして、優勝した高校のある都道府県は大盛り上がりとなり、企業業績ももしかしたら上がるかもしれません。ただし、あくまで都市伝説なので信じるか信じないかはあなた次第。。。
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